小菅優 ベートーヴェン ピアノ ソナタ

小菅 優 ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲演奏会シリーズ〈第4回〉
9歳から、ヨーロッパでも活躍されている若手実力派ピアニスト
小菅優さんのコンサートに先日行ってきました。
まだ20代のはずなのに、内田光子さん並みの貫禄を湛えた佇まい。
けれども、演奏中のその表情を見ていると、
みずみずしい感性から紡ぎだされる音が、情景が、
目の前に見えるよう。それだけで嬉しくなってしまう。
本当にピアノが好きなのね。

プログラムは
ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 Op.78 「テレーゼ」
ピアノ・ソナタ 第25番 ト長調 Op.79
ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 Op.28 「田園」
~int~
ピアノ・ソナタ 第6番 ヘ長調 Op.10-2
ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」

曲をまたいでのモチーフや
シューベルトなど後に続く作曲家への影響が
非常にわかりやすく感じられました。
音楽室のしかめっ面のベートーヴェンが嘘みたい。
リラックスしてチャーミングで音楽が大好きなルートヴィヒがいました。
プログラムノートのご本人の弁をいくつか引くと
『田園』では
「神の視点から人間を見るような位置で弾かないといけない」
『ワルトシュタイン』では
「最初のピアニシモから、全曲の最後のフォルティシモにいたる成長の過程には、無から生命が生まれて世界が広がっていくような過程を感じます。〜中略〜 ここまで世界が大きく広がった後では、続けて他のソナタを弾く気にはなりません」
とおっしゃっていますが、その言葉通りの、彼女の世界が垣間見える名演奏。

アンコールは
シベリウス 5つの小品Op.75より 第5曲 「もみの木」
シューマン 子供の情景Op.15より 第13番「詩人のお話」

実は連日の寝不足で、演奏中寝てしまったらどうしようと
少し不安だったのですが、完全なる杞憂に終わりました。
久しぶりに心が洗われるような、素晴らしく感動的なコンサートでした。

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