表現の極意

羽生結弦のNHK杯でのフリー演技、素晴らしかったですね。

テーマは「陰陽師」。
狂言師・野村萬斎さんが映画「陰陽師」で
主役の安倍晴明を演じて一躍人気になったものです。

以前、あるテレビ番組でその野村萬斎さんと羽生選手の対談をやっていて
萬斎さんがおっしゃっていたことが大変興味深かったので覚書を載せます。
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狂言では観客の逆を突く正反対の動きが大事。
ある動作を起こすときにそのエネルギーをいったん反対に持ってくることでエネルギーを増幅させておく。
またはいったん反対の動作に観客の意識を向けることによって逆の動きを大きく見せる。
押すだけではなく引く、目立つためには引くことも大事。

【型(=基礎)について】
基礎として代々受け継がれたもの(=型)ができないとスタートラインにたてない。
誤作動しないように型にはめ込んでいつでもオートマティックにできるようにするのがひとつの「型」のありかた。
型を身につけるのは大事である。
しかし、次になにがくると分かってしまうのが型。
それがわかっていても、おぉ!と観客に思わせなければいけないのが
型のある者の宿命。
お客様に期待されること以上のことを見せていくにはどうしたらよいか。

型は自分で解釈していくもの。この型には何の意味があるのか?を自分で考える。
自分がその振りにどういう意味を込めてやっているのか
ひとつひとつに意味を持たせるのは自分の解釈でできること。

【技術と表現の両立について】

記憶に残る演技をすれば結果がついてくる。
記憶に残る演技に必要なことは「精神性」
芸術をジャッジするような場所で表現をしようとするには
人だけではなくて周り全部の空気を感じ取って「場」を自分のものにしたい。
「場」を支配するためには「場」を味方につける、
自分の意識を会場全体に持っていきたいし、その「場」と時間、空気をまとう。
「場」の空気をまとう、味方につけることができると観客(ひと)は喜ぶ。
音をまとい音を司る。
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我々音楽家の表現にとっても共通して大切なことだと思います。
改めて、まだまだ勉強頑張ります!

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