さよならノーブランズ

クロマチックハーモニカ・バスハーモニカの名手
鶴田亘弘先生ご逝去の報を受け、通夜に参列いたしました。
様々な思い出が巡って、しばし写真を眺めておりました。
どちらも1990年代のものです。


向かって左が鶴田亘弘先生、右の黒づくめが父。


濃紺のジャケットのお三方がザ・ノーブランズの皆さん、
白いスーツが父(ギャングを気取ってヤクザになったと笑っていました)

鶴田先生は早稲田大学ハーモニカソサィアティのご出身で、
同じくハモソのお仲間とハーモニカトリオ「ザ・ノーブランズ」を
立ち上げられました。
皆さん一流企業にご勤務の傍ら、日本中を演奏してまわられ
鶴田先生はスタジオのお仕事でもご活躍でした。
妖艶な鶴田サウンドに、時のマダムたちはメロメロ。
ご本人は物腰柔らかく、温厚で優しく誠実なお人柄で
謙虚、という言葉を体現したような方でした。

ノーブランズの皆さんは父ともよく
ジョイントコンサートをしてくださいましたが、
そのコンサート用に新しく曲をアレンジするとき
いつも父は嬉々として「これは鶴田さんだから書けるんだよ〜」と、
超絶難しいフレーズをクロマチックパートに編曲していました。
常日頃、生徒さん用にはレベルを加減していたので
イメージしたアレンジをそのまま書けるのが
嬉しくて仕方がなかったようです。

鶴田先生はそんな手加減なしの超絶技巧フレーズを
「こういうところに性格のいやらしさが出るんだよな〜、やーなやつ。」
などと、MCで冗談ぽく受け流しながら、
なんでもない顔で吹いていらっしゃいました。
そんなノーブランズさんと、子供のようにはしゃぐ父の本気の演奏は
子供心にも楽しく、面白く素敵なサウンドに聴こえていました。
私がハーモニカのアンサンブルを好きな理由は、
この時のワクワクにもあるのだろうと感じています。
ですから、父の一周年追悼コンサートで
その超絶技巧曲をノーブランズの皆さんとご一緒させていただいたのは
本当に貴重な経験でしたし、めっちゃくちゃ楽しかった!

奥様よりも付き合いのながいノーブランズのメンバーの方が
近年相次いでお亡くなりになっても、
昔のような早吹きでなくなっても、
それでも艶やかな鶴田サウンドは健在で
次にお目にかかれる機会が楽しみでした。

この写真に写っている人はみんな逝ってしまって寂しいです。
もう少し、聴きたかったし、できるなら一緒に演奏したかったな。

さよならノーブランズ」への2件のフィードバック

  1. ひろみさま、先生とお父様との、貴重なお写真を見せていただきありがとうございました。
    先日、雲ひとつない真っ青な空の下、鶴田先生をお見送りしました。
    早すぎます。もう一度、元気なお姿を見たかったです。本当に。

  2. AYAさま
    ご葬儀もいらしたのですね。
    本当に残念でなりませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です