「とめてくれるなおっかさん
背中の銀杏が泣いている
男東大どこへ行く」
名コピーですよね。
大学の学園祭のポスターに。
どこの誰が作ったとか背景とか知らないけれど
「とめてくれるなおっかさん
背中の銀杏が泣いている」
というのはすぐに絵が浮かんでくるくらい
インパクトが強くてなぜかそこだけ覚えていた。
その言葉を書いた人を知ったのは
高校に入ってからですが、
桃尻語訳よりも私はこちらの方が名作だと思います。
「窯変」とはよく言ったもので、
名訳と言われる『源氏物語』は
与謝野版・谷崎版・円地版・瀬戸内版と数あれど
一人称で描かれた『源氏物語』はこれだけ。
「一口に“古典”で片付けられてしまう様々な作品群を見ていると、
今の文学というのはなんと寂しいものだろうと思う。〜中略〜
今度の私の源氏物語は、ただ一言、絢爛豪華をやりたいーこれに尽きる。
〜中略〜日本語ってこれだけ凄いんだぞ」という著者の言葉。
たしかにキラキラしていて、日本語の虜になった。
何より、光源氏の視点から描かれた世界の豪華さと虚しさ。
光源氏という人間がとっていた行動が腑に落ちる、そんな物語だった。
まだ70歳。
文筆業としてはこれからもっと、という時期なのに。
この間も野間文芸賞を受賞したばかりじゃなかったかしらん。
久しぶりに膝から崩れ落ちるほどの衝撃。
冬が嫌いになりそうだ。
謹んで哀悼の意を表します。