橋本治

「とめてくれるなおっかさん
背中の銀杏が泣いている
男東大どこへ行く」

名コピーですよね。
大学の学園祭のポスターに。

どこの誰が作ったとか背景とか知らないけれど
「とめてくれるなおっかさん
背中の銀杏が泣いている」
というのはすぐに絵が浮かんでくるくらい
インパクトが強くてなぜかそこだけ覚えていた。

その言葉を書いた人を知ったのは
高校に入ってからですが、
桃尻語訳よりも私はこちらの方が名作だと思います。

「窯変」とはよく言ったもので、
名訳と言われる『源氏物語』は
与謝野版・谷崎版・円地版・瀬戸内版と数あれど
一人称で描かれた『源氏物語』はこれだけ。

「一口に“古典”で片付けられてしまう様々な作品群を見ていると、
今の文学というのはなんと寂しいものだろうと思う。〜中略〜
今度の私の源氏物語は、ただ一言、絢爛豪華をやりたいーこれに尽きる。
〜中略〜日本語ってこれだけ凄いんだぞ」という著者の言葉。

たしかにキラキラしていて、日本語の虜になった。
何より、光源氏の視点から描かれた世界の豪華さと虚しさ。
光源氏という人間がとっていた行動が腑に落ちる、そんな物語だった。

まだ70歳。
文筆業としてはこれからもっと、という時期なのに。
この間も野間文芸賞を受賞したばかりじゃなかったかしらん。

久しぶりに膝から崩れ落ちるほどの衝撃。
冬が嫌いになりそうだ。

謹んで哀悼の意を表します。

James Ingram

最初に聴いたのは中学校の時だったかな。
家にあったこれでした。
Quincy Jones のアルバム「The Dude」から「One Hundred Ways」。

歌詞が好きで、これで英語の勉強したなぁ。
改めていい歌詞だと思うんだけど。
彼の声だから説得力があるのよね。

代表曲といえばこちらの方が有名。

伸びのある高音が美しい。

改めて探したら、パティ・オースティンとのデュエット曲も有名みたいですね。

この時のJamesは俳優の阿部寛さんに似てる気がする。

んー、残念だ。まだ66歳とは早い気がします。

R.I.P.  安らかに。

ドン・ジョヴァンニ

2019.1.27@東京芸術劇場
オペラ×ダンスの邂逅。と銘打って開催された
モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」。
井上道義指揮、読売日本交響楽団演奏、
演出・振付は森山開次さん。

スペインを舞台に、稀代の女ったらしドン・ジョヴァンニが
人々の恨みを買って地獄の業火に焼かれるって話。
(だいぶ端折ったな。。。)

イタリア語のコンサート形式を何度か聴いていまして
ストーリーは知っていたけれども、今回は演出・振付を
日本を代表するダンサーの森山開次さんがなさる、
しかも指揮はマエストロ井上道義(ミッチー)氏ということで
期待も大。

ダンス、特にコンテンポラリーダンスが最近流行っているようですが
流行っているからと言って誰でもできるものではない。
しかも、コンテンポラリーダンスは自分の感情を自由に表現することができるんです
とか簡単にいう方がいらっしゃるようですけど、そんな簡単なものではない
ということが、この踊りを見ていてはっきりしました。
歌の持っている感情と放たれる言葉にしっかりと合った動き、
画面の効果(人間の心理描写)としての振付や色使いというのは
「自分だけの動き」だけではできないし、
なんていうか。。。
森山開次さんすごい。

てっきり原語上演だと思っていたら日本語上演で
マエストロミッチーが翻訳なさったらしく
いたるところにミッチー節。
特に主人公のドン・ジョヴァンニのセリフは
日本語の使い方とか発声法は
マエストロミッチーそのもの!と思うようなところが
何か所かありまして、遠目からだと見た目も似てるから
お目目をぱちくりしてしまう。
翻訳してしまうと、元のメロディーと言葉のイントネーションや
音の数が合わなくなるので違和感があることが多いですが
さすがのミッチー節はよく練られていました。

舞台の上にオーケストラピットを作って、
さらにその上にメインステージをつくるという
空間の四段活用も、大掛かりな舞台転換ができないなかで
有効かつ面白い趣向だなと思いました。
歌い手さんはただ歌うだけではなく、寝っ転がったり
ダンサーの中心で振付を一緒に動いたり、踊ったりと
普段のステージ以上のことをなさらなくてはいけないので
大変だったことと思います。
皆さん素晴らしかったのですけれど
私はドンナ・エルヴィーラ役の鷲尾麻衣さんと
ドンナ・アンナ役の髙橋絵理さんがとても好きでした。

どんなステージを観てもドン・ジョヴァンニは
ひどい女たらしでどうしようもない悪党、みたいなイメージが強かったのですが
今回の解釈で、モーツァルトへの見方とジョヴァンニに対する見方が変わりました。
なんていうか、邪悪なものがなくなった、かな。

やっぱり専門だけではなくて、
幅広い知識と視野が必要な時代になったということ。。。

吉田修一「国宝」

持ち歩くのに重いので普段はあまりハードカバーの本を買わないのですが、
これは気になって文庫化まで待てなかったので。

吉田修一「国宝」上下巻

とにかくよく研究されているなと感じます。
単にフィクションとしてもとても面白いし
主人公の人と為りやエピソードが誰のどういうところから取られたか
詳しい人ならすぐわかる。
でも、特定の誰かを書いているわけではなくて、
言うなれば、昭和の歌舞伎の集大成。

キラキラと時代が光って、人が輝いて
役者に限らず専門○○はどうしようもないものだねぇと
自虐を含めて皮肉に笑ってしまうような。

折しも團十郎襲名のニュース。

どうかいい時代がやってきますように。

あつぎハーモニカコンサート2019

昨日はこれに行ってきました。

あつぎハーモニカコンサート2019@厚木市文化会館。

毎年1月に行われている、ハーモニカのお祭り。

チラシには名前がないのは、もともと出る予定ではなかったから。
11月のこれがあまりにも楽しすぎて、1回だけじゃもったいないね、
じゃあ年明け1曲だけ吹きに来る?みたいな流れで、
1曲のためだけに片道2時間掛けていきました。

しかも、この間のバージョンからさらに1曲追加したり
気になる部分を書き直したりしたので、
実質事前合わせ無しのぶっつけ本番。


黒い衣装のファントムじゃなくてトリプルロックスのみなさん。
右から水野隆元さん、有野剛さん、わたし、大内友哉さん。
とりあえず無事に楽しく終わったのでホッとしている。

この日は大内さんが忙しくて、最多3バンド掛け持ち。
しかもみんなめっちゃくちゃ難しいやつだから
一人で流血の大惨事だったそうです。
私たちの出番の後、アザレアクァルテットさんの出番の前に
舞台裏で合流したので記念の一枚。
わたし以外オールブラックス。


トリプルロックスさんもアザレアクァルテットさんも
結成20年以上の大ベテラン。
アザレアさんなんて、みなさん子育て中のママ・パパなので
いまは年に1~2回しかステージに立たないそうなのですが
それでも阿吽の呼吸でしっかりしたアンサンブルができちゃう。
メンバーの井上さんは
「Mちゃんは、世界一のセカンドパートなの。
でも、それはほかの人がファーストパートをとるんじゃだめなの。
私のためだけに存在しているセカンドパートなの。」
といい切るほど。
大内さんが井上さんのためにオリジナル曲を書くとき
常にアザレアクァルテットのメンバーで演奏することを想定して書くと
井上さんがとても吹きやすくていい曲になるのだそうです。
いい絆ですね。

年明けからよい時間を過ごさせていただきました。
これでしばらくはトリプルロックスさんと
ご一緒することがなくなりますが、
またいつか、どこかでできればいいな。

水野さん、大内さん、有野さん、
スタッフ・ご関係者の皆さま、ご来場の皆さま
ありがとうございました。

初春歌舞伎

東京は暮れからずっと
気持ちのよい晴天が続いています。
この青空のように穏やかで気持ちのよい一年になるといいですね。

毎年恒例の国立劇場初春歌舞伎公演に行ってきました。
菊五郎劇団の「姫路城音菊礎石」。

ロビーでは正月公演らしく獅子舞も。


「姫路城音菊礎石」は
20年ぶりの筋を大幅改定したものらしいです。
幕開けからあんな趣向が凝らされているとは!!
さすが菊五郎劇団。
客席からの手拍子が止まらない。

劇団をまとめるのは当然、菊五郎丈ですが
中心を担うのは松緑・菊之助・梅枝という構図。
特に、松緑丈が飛び出してくると舞台が引き締まる。
「華」にもいろいろな種類があるのだと感じます。
菊之助丈も、少しずつ立役が摑めてきたでしょうか。
ただ、立役の踊りや表情の作り方がやはりどことなく
海老蔵に似ているような気がするのですよね。。。
もし同じ師匠についているとしても(憶測ですが)
團十郎の芸と菊五郎の芸は違うので
あまりそちらに行かないでほしい。
好きとか嫌いとか良い悪いではなくて。
まあでも芸は何事も「守破離」ですから、
私たち世代はまだまだ「学ぶ」=「真似ぶ」=「守」が大事。

この辺のお話はレッスンにも通じるのでまた改めて。


ロビーには会津末廣酒造さんの樽。
今年はチケット購入に出遅れて初日が取れず
振る舞い酒はなし。
今年は菊之助の子息・和史くんのサイン入りの桝が
当たったかもしれなかったらしいので
大変残念です。。。
和史くんと眞秀くんもしっかりと舞台を務めていましたね。
特に眞秀くんはとても大きな声で生き生きと演じていて
可愛らしい狐でした。
和史くんは、舞台が嫌にならないといいなあ。。。


歌舞伎にちなんだ羽子板も飾られていて華やかです。


正月はやはり着物で。
今年は母の下したてを着せてもらいました。
母は私の着物を着ている。
いつの間にか似合うようになっている。

謹賀新年

新玉の新しき年を迎え、皆さまには
恙なくお過ごしのこととお慶び申し上げます。

昨年に引き続き、年賀状は友人のデザイナーさんに依頼。
可愛いものを描いていただきました。
ハーモニカのメーカーがHIROMIになっている、
ということは、イノシシに喰われる寸前。。。?
猪突猛進に跳ね飛ばされないように
あ、跳ね飛ばされても生きていけるように
ふわりふわりと暮らしたいと思います。

佳き年になりますように。

己亥元旦     寺澤ひろみ拝

行く年来る年

2018年ももうすぐ終わりを迎えようとしています。
今年一年お世話になった皆さま、ありがとうございました。

今年は3月のマンダラに始まって、
11月のソロライブや久しぶりのハーモニカアンサンブルなど
しっかりと自分の力量ややりたいことを見つめなおす時間をもらった年でした。

また、BS-TBS「おんな酒場放浪記」から
講演のお仕事もいただけたり、
祖母との思い出を綴ったエッセイが歌舞伎座の筋書に載ったりと
様々な世界が広がった年でもありました。

発表会を行ったことで、生徒さんの中にも
一つ上のレベルを目指す人が出てきて
指導者試験に合格したり、挑戦したりする人も増え
結構慌ただしい年末を過ごしています。

特筆するべきこととしては
地元江戸川区から「文化功績賞」を頂戴できたことは大変光栄で、
ひとつ区切りをつけられたと思っています。

すでに来年の演奏会のお話もいくつかいただいていますので
またこちらでご案内いたします。

最後に、先月私の所属する日本ハーモニカ芸術協会の
会報誌に寄せたエッセイを。


来年も少しずつ、活動の幅を広げていかれたらと思っています。

迎える年が皆さまに取りまして
幸多きものとなりますよう
心よりお祈り申し上げます。

十二月大歌舞伎

何かと忙しかった11月も過ぎ
落ち着いてきたので
歌舞伎お大尽。

歌舞伎座十二月大歌舞伎、昼夜ともに行ってきました。

昼の部は、壱太郎丈が女形の難しいお役に挑戦。
「於染久松色読販~お染の七役~」


主役のお染、丁稚の久松など7役を早変わりで演じ分ける
最高に難しい役どころ。
早変わりもしながら、
性別年齢の異なる役になり切らなければならない。
所作から声色、表情、そして何より心持ちの
すべて変えるのは大変でしょうと思いますが
ほんの1分前にお店のお嬢さんをしていたのに
帰ってくるなりしっかりと青年の背中になっていたりする。
骨格や筋肉の使い方がまるっきり変わっていくというのが観察できて
なかなか興味深く拝見しました。
それにしても、壱太郎丈はいい役者です。


夜の部は念願の玉三郎の阿古屋。
花魁としての演技をしながら、
三味線・筝・胡弓の3つの楽器をしっかりと弾かなければならない
これまた女形最高峰のお役です。

直前になってチケットが取れて、しかも初の桟敷席!

花道から後ろを向いた隙に、
阿古屋がニヤリと笑ったように見えて
ぞっとしました。

前回、玉三郎丈を拝見したときにも思いましたが
彼はもはや「玉三郎が演じる」という言葉なく
阿古屋としてそこにいるので
一つ一つの仕草や表情が美しいのに
底知れぬ恐ろしさがある。

夜の部では児太郎・梅枝の二人が「二人藤娘」を演っていまして
将来、女形の名跡を継ぐ児太郎と梅枝が並んで演ることはめったにないので
比べてみることができて、なかなか面白かったのですが
手を置く仕草や速度、タイミングでこんなにも変わってしまうものなのかと
愕然としました。
神は細部に宿る。
そして玉三郎丈が以前おっしゃっていた
「要はね、手がここに来るかどうかなのよ」という一言の
重みを改めて感じた次第です。

私たち音楽の世界も同じ。
緩急や強弱のつけ方でそのフレーズを生かすも殺すもしてしまう。

奥が深いですね。

江音祭


今年も恒例、江戸川区の音楽祭でした。

地元サークルさんは、イタリア民謡と日本の童謡のメドレーを。
本番になるとやはり緊張されるようですけれど、
まあこれは慣れるしかないからね。

ここ近年は、江戸川総合文化センターの通路でも
無料のクリスマスイベントをやっていて
なかなかにぎやかです。

江音祭も今年から入場無料になったのだとか。

っていうか、いままでお金とってたの?

そっちのほうにびっくりだ。