ドン・ジョヴァンニ

2019.1.27@東京芸術劇場
オペラ×ダンスの邂逅。と銘打って開催された
モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」。
井上道義指揮、読売日本交響楽団演奏、
演出・振付は森山開次さん。

スペインを舞台に、稀代の女ったらしドン・ジョヴァンニが
人々の恨みを買って地獄の業火に焼かれるって話。
(だいぶ端折ったな。。。)

イタリア語のコンサート形式を何度か聴いていまして
ストーリーは知っていたけれども、今回は演出・振付を
日本を代表するダンサーの森山開次さんがなさる、
しかも指揮はマエストロ井上道義(ミッチー)氏ということで
期待も大。

ダンス、特にコンテンポラリーダンスが最近流行っているようですが
流行っているからと言って誰でもできるものではない。
しかも、コンテンポラリーダンスは自分の感情を自由に表現することができるんです
とか簡単にいう方がいらっしゃるようですけど、そんな簡単なものではない
ということが、この踊りを見ていてはっきりしました。
歌の持っている感情と放たれる言葉にしっかりと合った動き、
画面の効果(人間の心理描写)としての振付や色使いというのは
「自分だけの動き」だけではできないし、
なんていうか。。。
森山開次さんすごい。

てっきり原語上演だと思っていたら日本語上演で
マエストロミッチーが翻訳なさったらしく
いたるところにミッチー節。
特に主人公のドン・ジョヴァンニのセリフは
日本語の使い方とか発声法は
マエストロミッチーそのもの!と思うようなところが
何か所かありまして、遠目からだと見た目も似てるから
お目目をぱちくりしてしまう。
翻訳してしまうと、元のメロディーと言葉のイントネーションや
音の数が合わなくなるので違和感があることが多いですが
さすがのミッチー節はよく練られていました。

舞台の上にオーケストラピットを作って、
さらにその上にメインステージをつくるという
空間の四段活用も、大掛かりな舞台転換ができないなかで
有効かつ面白い趣向だなと思いました。
歌い手さんはただ歌うだけではなく、寝っ転がったり
ダンサーの中心で振付を一緒に動いたり、踊ったりと
普段のステージ以上のことをなさらなくてはいけないので
大変だったことと思います。
皆さん素晴らしかったのですけれど
私はドンナ・エルヴィーラ役の鷲尾麻衣さんと
ドンナ・アンナ役の髙橋絵理さんがとても好きでした。

どんなステージを観てもドン・ジョヴァンニは
ひどい女たらしでどうしようもない悪党、みたいなイメージが強かったのですが
今回の解釈で、モーツァルトへの見方とジョヴァンニに対する見方が変わりました。
なんていうか、邪悪なものがなくなった、かな。

やっぱり専門だけではなくて、
幅広い知識と視野が必要な時代になったということ。。。

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