今年もこの季節がやってきました。
このところ何年か連続で出演させていただいています。
今年は会場がセシオン杉並でキャパが従来より縮小したからか、
完売御礼の満席となりました。
後半の演奏では、小さなお子さん達も大活躍でした。
岩間朱美さん、柳川優子さん、楠光恵さん、水野隆元さんという、
トッププロと言っても過言ではないみなさんに交じって
佐藤秀廊先生作曲の「田園素描」全4曲を演奏させていただきました。
(右から楠光恵さん、柳川優子さん、岩間朱美さん。
古くは就学前からの付き合いなので楽屋もリラックスできました。)
企画局の手違いで(!)本番2週間前に曲目変更の打診があり
田園素描全曲という大役を仰せつかりましたが
これを逃すと一生この曲を勉強しないだろうと思い、
謹んで挑戦させていただきました。
いやぁ、まさかの暗譜。。。
佐藤先生や直弟子のみなさんがいらっしゃらなくなってから、
佐藤先生の解釈でこの曲を全曲できる方はめっきり少なくなってしまいましたから、
今回は昔の佐藤先生の音源で勉強しました。
先生の音源を聴いていると全く無理がなく自然で
それでいてダイナミックで情景的。
聴けば聴くほど、まるで砂漠の蜃気楼のような気がしてしまいました。
それでも今回は、同世代で頑張っているみなさんの演奏を聴くことができ、
それぞれの佐秀楽譜の解釈が面白かったのと
やはり、私は幼い頃から門前の小僧で聴いてきた佐藤先生や父の演奏が
細胞に染み付いているのだということを改めて感じました。
ある奏者の方は
「私は岩崎門下だからやっぱり岩崎先生の楽譜じゃないとやりにくい」
とおっしゃっていて、なるほどそうか、と。
そろそろ父や佐藤先生の演奏を追いかけるのではなく、
私の解釈を盛り込んだら、と意見をくださった先生もいらっしゃいましたが
私は、佐秀楽譜に関してはできる限り佐藤先生や父に近い演奏を残すために
これからも追い求めていきたいと思っています。
それでも自然と私のオリジナリティーは出てくるものだと思うから。
嬉しかったのは、佐藤先生の演奏をよく聴いていた母が、
「私が覚えている佐藤先生の演奏や曲の雰囲気を
ちゃんと解釈しているのはあなただわ」と褒めてくれたこと。
他の先生のフィルターを通さずに、
直弟子であることを頑なに守った父の演奏を手本に
頑張ってきてよかったと思います。
久しぶりに父と話がしたくなりました。