崎元譲音楽家生活50周年記念


日本を代表するクロマチックハーモニカ奏者の崎元譲(じょう)先生が
音楽家生活50周年を記念して
東京文化会館の小ホールにてコンサートを開催されました。

崎元先生は佐藤秀廊先生の下でクロマチックハーモニカを始められ
来日したラリー・アドラーやトミー・ライリーの薫陶を受け
ドイツのトロシンゲン市立音楽院に留学、ヘルムート・ヘロルドに師事
その後イギリスに渡りトミー・ライリーに師事された方です。

見慣れない名前ばかりとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、
ハーモニカ人間(オタク)からするとスーパースターの名前ばかりなのです。
とにかくすごくてうらやましい。
そうして帰国後は国内外を問わず数多くのオーケストラと共演なさったり
幅広いスタジオ録音(テレビ番組など)でご活躍の、
まさに第一線を歩まれてきた方。

比較的最近のものだと、NHKの「世界ふれあい街歩き」のテーマソングで
流れている、温かみのある素敵なハーモニカも崎元先生のものです。

クロマチックハーモニカのオリジナル作品を残すことにも精力的で
今回の演奏会でも、盟友で作曲家の美野春樹さんと多くのオリジナル作品を
演奏なさいました。
今回の演奏会で世界初演、ステージ初演の曲もあり、
ハーモニカのオリジナルを聴き慣れている私たち演奏家でも
非常にワクワクと聴くことができました。
50年の重み、先生の取り組む姿勢、情熱が伝わってくる演奏会。

少し前までは、取り組みやすいクロマチックのオリジナル曲を探すのは
一苦労でしたが、崎元先生と美野さんの活動は確実に
実を結んでいると感じました。

私もそのうちやってみたいな、オールクロマチックプログラム。。。

十月大歌舞伎@歌舞伎座

十月大歌舞伎@歌舞伎座 昼の部。

このところ、歌舞伎に行く時間を取るのが難しいので
空いた日に当日券を買うパターンも増えました。

同じく歌舞伎好きの知人が「迷っているなら行った方がいい」と
お勧めくださったので突撃してきました。

世界三大叙事詩に並び称されるインドの「マハーバーラタ戦記」を
尾上菊之助丈が2年の歳月をかけて、演出家・脚本家のみなさんと
歌舞伎に落とし込んだという壮大なストーリー。

4時間近い上演を観終わって最初に浮かんできた感想は

「これが現代の歌舞伎か。」

まず特筆すべきは、脚本がしっかりしている、ということ。
そして、人間国宝の次の世代がきちんと育っているという事実。
脂の乗り始めた彼らの活きの良さを見せつけられるお芝居でした。

大いなる神話の世界の常として、読んでいて
・長い(中だるみする)
・都合よく話が捻じ曲げられる(辻褄が合わなくなる)
・結局何が言いたいの?(神が偉いってことだけにこんなに文字数割くの?)
ということを不快に感じることがままありますが、このお芝居は

骨子がしっかりしているので
途中で起こるエピソード一つ一つも際立ちながら
結論が唐突でない。

膨大なお話をこれだけにまとめるのは相当なご苦労だったと思います。

戦争が起こりそうだ、そろそろ人間界も危ないから滅ぶに任せよう
とか言っちゃってる神々のなかで、
人間の中にも捨てたもんじゃない奴もいるから、もう少し様子を見たい。
ついては、自分と人間(姫)との間に子供をなして
その子たちがどう丸く治めるかみようじゃないか、という酔狂な神が出る。
この世をうまく治めるのは「慈愛」だという太陽神と
いやそれではうまくいかない、「力」だという帝釈天。
太陽神(慈愛)vs帝釈天(力)の揉め事が発端になっていて
人間世界で起こっている国取りの争いに乗じて、
それぞれの神の血をひき同じ母から生まれた男子によってなされた
(片方はそれと知らず低い身分に育てられ、片方は王族として育てられた)
信念対信念の代理戦争みたいなお話。

ギリシャ(ローマ)神話にしても、旧約聖書の世界にしても
神の血をひく人間とか神の加護がある人間って絶対勝つことになっているんだけど
その加護を自ら手放してしまう人間の選択とか、
自分は本当にこれでいいのだろうかと
葛藤する人間たちの姿が丁寧に描かれています。
インド哲学の考え方を知るのにもとてもよい。
インドの階級を照らし合わせると少々??となる部分もありますが
輪廻転生やダルマのこともああ、なるほど、と。

役者さんの中で今回特に目を引いたのは中村七之助丈。
敵役の王女なのですが
上品さも頭脳明晰さも怜悧さも残酷さも
気高さも垣間見える乙女心も殺陣のキレも潔さも
際立って映りました。
特に、終盤連続した殺陣の見事さは、きっと後10年したら見られなくなる。

それから、スチールドラムやガムラン、ティンシャ(かな?)、
エスニックなタム(奥まっててわからなかった)、木琴鉄琴など
従来の黒御簾音楽では使われない楽器が多くあり
随所に挟まれるミニマムミュージックが心地よく感じられました。

冒頭の「これが現代の歌舞伎か」というのには
いろいろな感慨が込められていて
少しの違和感と一抹の寂しさを感じたことだけは付け加えたいと思います。